小学生の保護者の方へ
立体の図が苦手なお子さまが
増えているように感じます
小学生の高学年を見ていると、最近あらためて感じることがあります。
それは、立体の図をかくことが苦手なお子さまが増えているように思う、ということです。
たとえば、立方体や直方体をかこうとしたときに、
- まっすぐで平行になってほしい線がそろわない
- 手前の形と奥の形で大きさが変わってしまう
- 奥にのびる線の向きがばらばらになる
- どこに線を引けばよいのか分からなくなる
といったことがあります。
もちろん、最初からきれいにかけるお子さまばかりではありません。ですが最近は、「少し練習したらすぐできるようになる」というよりも、立体をどう見たらよいのかがつかみにくいお子さまが以前より増えているように感じます。
立体の図が苦手なのは、不器用だからとは限りません
立体の図がうまくかけないと、「手先が不器用なのかな」と思うことがあるかもしれません。もちろん、線を丁寧に引くのが苦手なお子さまもいます。
ただ、実際にはそれだけではありません。
立体を紙にかくときには、頭の中でいくつかのことを考える必要があります。
- どの線とどの線が平行か
- どの面とどの面がつながっているか
- 手前と奥の形がどう重なっているか
- どこが見えていて、どこが見えないのか
つまり、立体をかくときは、ただ線を引いているのではなく、頭の中で形を思いうかべながら、それを紙の上に表しているのです。
この力がまだ十分でないと、「こうやってかくんだよ」と教えても、その場ではできたように見えて、少し形が変わるとまた難しくなってしまいます。
どうしてこうしたことが起こるのでしょうか
はっきりと一つの理由だけで説明できるわけではありません。
ただ、教室で見ていて感じるのは、子どもたちがふだんの生活の中で、
自分の手で形を見て、作って、動かしてたしかめる経験が少し減っているのかもしれない
ということです。
たとえば以前であれば、
- 積み木
- ブロック
- 折り紙
- 工作
- 箱を組み立てる遊び
などを通して、自然と形の向きや重なり、奥行き、面と面のつながりに触れることが多かったように思います。
今ももちろんそうした経験はありますが、一方で、画面を見る時間が増え、自分で手を動かして形をたしかめる時間は少し減っているのかもしれません。
そのため、立体を見て「分かったつもり」にはなっても、いざ自分でかこうとすると形がうまく保てない、ということが起きやすいのではないかと思います。
立体の見方が苦手だと、ほかのところでも困りやすくなります
立体をかくのが苦手な場合、困るのは作図だけではありません。
- 展開図が苦手
- 見取り図と実際の形がつながらない
- 真上から見た図、横から見た図が分かりにくい
- 図形の問題で、どこを見ればよいか分からない
といったことにもつながりやすくなります。
つまり、立体の図が苦手というのは、図形全体の見方がまだ育ちきっていないサインのこともあります。
まず大切なのは、「上手にかくこと」より「よく見ること」
ここで大切なのは、いきなり「きれいにかけるようにしよう」としすぎないことです。
先に育てたいのは、
- 形をよく見る力
- 線と線の関係を見る力
- 面のつながりを見る力
- 見たものをそのまま写す力
です。つまり、作図の前に、形を正しく見る力を少しずつ育てていくことが大切です。
ご家庭でもできる練習の例
ここからは、おうちでも取り入れやすい方法をいくつかご紹介します。特別な教材がなくてもできるものも多いです。
1.まずは「見てまねる」練習をする
いきなり何も見ずにかこうとすると、難しいお子さまは多いです。まずは、立方体や直方体の図を見ながら、そのまままねしてかく練習から始めるとよいと思います。
このときは、ただ写すのではなく、「この線とこの線は同じ向きかな」「手前と奥の形はどうずれているかな」と見ながらかくことが大切です。
2.平行な線をそろえることだけにしぼってみる
立体全体をいきなりきれいにしようとすると、難しく感じやすいです。
「今日は縦の線をそろえる」「今日は奥にのびる線の向きをそろえる」と、一つだけ意識してみると取り組みやすくなります。
3.実物を見ながらかいてみる
ティッシュ箱やお菓子の箱、消しゴムの箱など、身近な箱を机に置いて、それを見ながらかいてみる方法です。
「どの面が見えているかな」「角はどこでつながっているかな」と一緒に見てあげると、頭の中だけで考えるより分かりやすくなります。
4.展開図を作ってみる
紙に展開図をかいて、切って、折って、組み立てる。
こうした流れを通して、平面と立体がどうつながっているのかが少しずつ分かってきます。
5.ブロックや積み木で形を作る
大人が簡単な形を作って、それを見て同じように並べる。横から見たらどう見えるか、上から見たらどう見えるかを考える。
こうした遊びの中で、高さ・奥行き・位置関係を自然に学ぶことができます。
6.折り紙や工作も役に立ちます
折ると向きがどう変わるか、重なるとどこが見えなくなるか、組み立てるとどこが面になるか。
こうしたことを、手を動かしながら体感できます。「見るだけ」より「さわって分かる」ほうが理解しやすいお子さまには、特におすすめです。
7.かいたあとに「どこが変かな?」と一緒に見る
図をかいたあと、お子さま自身では「どこが変なのか」が分からないことがあります。
そんなときは、「この線、同じ向きかな」「手前と奥の形、同じくらいかな」と一緒に見てあげるとよいです。
大切なのは、「ちがうよ」で終わらせるのではなく、どこを見たら整っていくのかを一緒に見つけることです。
急にできるようになるものではないからこそ、少しずつで大丈夫です
空間図形の見方や立体の感覚は、漢字のように一気に覚えるものではありません。だからこそ、
- 少しずつ見る
- 少しずつ作る
- 少しずつかく
- 少しずつ直す
という積み重ねが大切です。
苦手意識があるお子さまほど、「立体はむずかしい」と思い込んでしまいがちです。そういうときは、いきなり難しい問題を解くより、まずは形に慣れることから始めるほうがうまくいきやすいです。
Exciaで大切にしたいこと
Exciaでは、立体の図が苦手なお子さまに対して、ただ「こうやってかけばいいよ」と形だけを教えるのではなく、
- どこを見ればよいのか
- 何がずれているのか
- どう見たら形が整いやすいのか
を一緒に確認しながら進めることを大切にしています。
図形は、公式だけで進められる分野ではありません。見て、考えて、作って、たしかめる中で、少しずつ強くなっていく部分があります。
だからこそ、苦手なお子さまほど、急がずに形を見る力そのものから整えていくことが大切だと考えています。
最後に
小学生高学年で、立体の図が苦手なお子さまが増えているように感じます。
ただ、それは単に図形が苦手というより、形の見方や空間のとらえ方に苦手さがある場合も多いです。
だからこそ、必要なのは「もっと丁寧にかきなさい」と言うことだけではありません。
形を見てまねる、実物を見ながらかく、展開図を作る、ブロックや工作で触る、どこが変かを一緒に確認する。
こうした積み重ねの中で、少しずつ立体の感覚は育っていきます。
立体が苦手でも、そこから伸ばしていくことは十分できます。Exciaでも、そうした土台の部分を大切にしながら指導していきたいと思っています。






