古典を少し面白く読む話
『とりかへばや物語』は、
かなり現代的な古典です
古典というと、どうしても「難しい」「昔の話でよく分からない」「入試のために仕方なく読むもの」と思われがちです。
もちろん、古文単語や助動詞、敬語の勉強は必要です。
ただ、それだけで古典を見てしまうと、かなりもったいないと思います。
古典の中には、今読んでもかなり面白い作品があります。
その一つが、『とりかへばや物語』です。入試でも頻出の作品ですね。
『とりかへばや物語』はどんな話なのか
『とりかへばや物語』は、平安時代の終わりごろに成立したとされる物語です。
タイトルの「とりかへばや」は、簡単に言えば、「取り替えたいものだ」という意味です。
では、何を取り替えたいのか。
それは、男女の立場です。
この物語では、男の子のように育つ女の子と、女の子のように育つ男の子が登場します。
これだけ聞くと、かなり大胆な設定だと思いませんか。
現代の小説や漫画ならまだ分かります。
でも、これが古典の物語として存在しているところが面白いのです。
古典なのに、テーマがかなり現代的です
『とりかへばや物語』の面白さは、単に「男女が入れ替わる」という設定だけではありません。
この物語が面白いのは、人は生まれ持った性別だけでなく、周囲から求められる役割によって生き方を決められてしまうという問題が見えてくるところです。
- 男の子ならこうあるべき
- 女の子ならこうあるべき
- 貴族ならこう振る舞うべき
- 家のためにはこう生きるべき
そうした「周囲からの期待」が、登場人物たちの生き方を大きく左右します。
これは、今の時代にも通じる話です。
もちろん、平安時代と現代では社会の仕組みはまったく違います。
それでも、
- 自分らしさとは何か
- 周りの期待に合わせることの苦しさ
- 本来の自分と役割のズレ
- 性別によって求められる振る舞い
といったテーマは、今読んでも考えさせられます。
だから『とりかへばや物語』は、古い話なのに古く感じにくいのです。
「男らしさ」「女らしさ」は本当に自然なものなのか
この物語を読むと、自然と考えさせられることがあります。
それは、「男らしさ」「女らしさ」とは何なのかということです。
私たちは普段、何となく
- 男の子ならこう
- 女の子ならこう
- 男性ならこう振る舞う
- 女性ならこう振る舞う
というイメージを持っています。
でも、それは本当に生まれつきのものなのでしょうか。
それとも、周囲からそう期待されることで作られていくものなのでしょうか。
『とりかへばや物語』は、そのあたりをかなり揺さぶってくる作品です。
しかも、説教っぽく語るのではありません。
物語として、登場人物たちの人生を通して見せてくれます。
そこが古典のすごいところです。
古典は、昔の価値観を知るだけのものではありません
古典を勉強していると、どうしても
- 昔の言葉を覚える
- 文法を確認する
- 現代語訳をする
という勉強になりがちです。
もちろん、それは必要です。
入試でも、単語や文法、敬語の知識は欠かせません。
ただ、古典を本当に面白く読むには、その物語が何を描こうとしているのかを考えることも大切です。
『とりかへばや物語』の場合は、まさにそこが面白いです。
この物語は、ただの入れ替わり話ではありません。
社会の中で求められる役割、自分自身の気持ち、周囲とのズレが描かれています。
古典は、昔の価値観を知るためだけのものではありません。
今の自分たちの考え方を見直すきっかけにもなります。
受験生に読んでほしい理由
受験生に『とりかへばや物語』のような古典を知ってほしい理由は、単に知識を増やすためだけではありません。
もちろん、古典常識として知っておく意味はあります。
有名作品や時代背景を知っていると、文章を読むときの助けになります。
ただ、それ以上に大切なのは、古典にも人間の感情や社会の問題が描かれていると知ることです。
古文の文章を読んでいると、最初はどうしても言葉の意味に意識が向きます。
- この単語は何だろう
- この助動詞は何だろう
- 主語は誰だろう
- 敬語の向きはどうなっているのだろう
もちろん、それは大事です。
でも、その先に、
- この人物は何に悩んでいるのか
- なぜそういう行動をしたのか
- 周囲との関係はどうなっているのか
- この場面で何が問題になっているのか
を考えられるようになると、古典はかなり読みやすくなります。
『とりかへばや物語』は、その練習にも向いている作品だと思います。
設定が分かりやすく、テーマも現代に近い。
だから、古典に苦手意識がある人でも入りやすいのです。
古典は、思っているより自由です
古典というと、どうしても堅苦しい印象があります。
でも実際には、古典文学にはかなり自由で大胆な作品もあります。
『源氏物語』もそうですし、『とりかへばや物語』もそうです。
- 人間関係はかなり複雑
- 感情も激しい
- 今読んでも驚くような設定がある
- 社会のしがらみや立場の苦しさも描かれている
そう考えると、古典は決して「おとなしい昔話」ではありません。
むしろ、人間の感情や欲望、社会のしがらみを、かなり生々しく描いているものも多いです。
『とりかへばや物語』は、その代表の一つだと思います。
Exciaで古典を読むときに大切にしたいこと
Exciaでは、古典をただ暗記科目として扱うのではなく、物語として読めるようになることも大切にしたいと考えています。
もちろん、入試に必要な文法や単語はしっかり身につける必要があります。
ただ、それだけでは古典はしんどくなります。
- 登場人物の関係を知る
- 時代背景を知る
- 物語の設定を知る
- 人物の感情を考える
こうしたことができると、古典はかなり読みやすくなります。
『とりかへばや物語』は、まさにその入口として面白い作品です。
「昔の話なのに、こんな設定があるんだ」
「古典って意外と攻めているんだ」
そう思えるだけでも、古典への見方は少し変わると思います。
最後に
『とりかへばや物語』は、男女の立場が入れ替わるという、とても大胆な設定を持つ古典です。
でも、その面白さは設定だけではありません。
男らしさ、女らしさ。
自分らしさと、周囲から求められる役割。
本来の気持ちと、社会の中での立場。
そうしたテーマが、物語の中にしっかり描かれています。
古典は、ただ現代語訳を覚えるだけのものではありません。
登場人物の感情や、物語の設定に注目すると、一気に読みやすくなります。
『とりかへばや物語』は、古典が苦手な人にこそ、ぜひ一度知ってほしい作品です。






